車にかかる税金を徹底解説!自動車税の重課や還付金について

自動車には3種類の税金がかかります。3種類の車の税金とは、自動車税(種別割)、自動車重量税、環境性能割のことです。こちらの記事では、自動車にかかる税金のあらましや、所有年数が経過することでいくら税金は高くなるのか、また車を手放すことで受け取れる税金の還付についても解説します。

自動車税とは

自動車税(種別割)・軽自動車税(種別割)は1年に1度、4月1日時点で自動車を保有する者に課せられる税金で、車の総排気量に応じて納める税額が定められています。

また、自動車税は新車新規登録から11年以上経過したディーゼル車、13年以上経過したガソリン車とLPガス車については自動車税が重課されてしまいます。ガソリン車の場合、自動車税がおおよそ15%増税されるのです。※ハイブリット車は重課の対象外となっています。

自動車税(種別割)一覧表

総排気量別の税額と15%重課された場合の税額についてわかりやすく表にまとめています。(エコカー特例による軽課対象を除く)

総排気量自動車税額15%重課
~1,000cc25,00029,500
1,000cc~1,500cc30,50034,500
1,500cc~2,000cc36,00039,500
2,000cc~2,500cc43,50045,000
2,500cc~3,000cc50,00051,000
3,000cc~3,500cc57,00058,000
3,500cc~4,000cc65,50066,500
4,000cc~4,500cc75,50076,500
4,500cc~6,000cc87,00088,000
6,000cc~110,000111,000
単位

環境問題の観点から排ガス規制として低年式車は重課税されてしまうのです。

軽自動車税(種別割)の一覧表

また、軽自動車税は新車新規登録から13年以上経過した車(三輪以上)については、自動車税が概ね20%重課されてしまいます。※ハイブリット車は重課の対象外となっています。

自動車税額20%重課
軽自動車(四輪以上)10,80012,900
単位

自動車重量税とは

自動車を保有している方に課せられる税金は自動車税だけではありません。自動車の重さに対して重量税が課税されてしまうのです。

また、自動車重量税も自動車税と同様に経過年数によって重課されてしまい、13年を経過すると軽自動車は20%、乗用車は39%の増税となります。

車検のタイミングで車検証の有効期限分をまとめて支払うことになりますので事前に確認しておくようにしましょう。初回は3年、それ以降は2年毎に支払いが必要となります。

さらに、自動車重量税も環境性能の優れた車であればエコカー減税が適応されるため、減税または免税になることもございます。お持ちの車が何年目なのか・エコカー減税対象車かあわせて確認しておきましょう。

自動車重量税の一覧表

自動車重量税のエコカー減税対象以外の税率と、新車新規登録から13年経過、さらに18年経過した際の自家用車2年分の自動車重量税を税額一覧表にまとめました。

税率13年経過18年経過
軽自動車6,6008,2008,800
~0.5t8,20011,40012,600
~1.0t16,40022,80025,200
~1.5t24,60034,20037,800
~2.0t32,80045,60050,400
~2.5t41,00057,00063,000
~3.0t49,20068,40075,600
単位

環境性能割とは

環境性能割とは2019年10月1日の消費税増税と同時に廃止された自動車取得税に代わる新しい税収制度です。課税要件は自動車取得税と同様ながら、環境性能に応じて設定されるため、環境に優しい車ほど減税されるのが特徴です。

簡単に言ってしまうと、燃費の善し悪しで税率が変わるというものです。環境性能に応じて普通自動車0~3%、軽自動車は0~2%課税されます。電気自動車については非課税となるのです。

それぞれの税金の使いみち

自動車にかかる税金である自動車税、自動車重量税、環境性能割についてご説明しましたが、これら税金はそれぞれどのようなことに使われているのか、みなさんご存知でしょうか。

税金は大きく分けると課税主体が国である【国税】・地方公共団体である【地方税】の2つがあり、そのなかでも更に細分化され使用用途がそれぞれ定められています。

国税には、所得税、法人税、相続税、贈与税、消費税、酒税、たばこ税、自動車重量税などがあります。地方税には、住民税、事業税、固定資産税、地方消費税、自動車税などがあります。

では、自動車関係の税金がそれぞれどのように使用されているかを詳しくご紹介していきます。

自動車税の使いみち

自動車税(軽自動車税)と環境性能割は地方税に分類されるため、地方自治体に税金を収めます。
地方税は、使用用途が定められている目的税と、使用用途が定められていない普通税に分けられます。
自動車税と環境性能割は地方税の中でも普通税に分類されるため、使用用途が定められていない一般財源となり、地域の教育や医療、警察や消防などの公共サービスや福祉、地方公務員や地方議員の給与など、様々なことに使用されています。
つまり、自動車税と環境性能割は、道路保全などの自動車に関わることに使用されているわけではありません。

重量税の使いみち

自動車重量税は国税に分類されるため、道路の建設や整備、維持などを目的とした道路特定財源として使用されていました。
しかし、2009年に道路特定財源制度が廃止され、自動車重量税も特定財源から一般財源となりました。
そのため、道路の建設や整備、維持などに使用しても余った場合は、自動車税や環境性能割と同じく、地方自治体の公共サービスなどに使用されるようになりました。

エコカー減税について

エコカー減税とは、排出ガス性能及び燃費性能に優れた自動車の新車新規登録などを行った場合、性能に応じて重量税が軽減される制度のことを言います。

また、国が定めた排ガス、燃費基準をクリアした車を購入・使用する際には【エコカー減税】【環境性能割】【グリーン化特例】という3つ制度による税金の優遇を受けることができるのです。

環境性能割は前述の通り、2019年10月1日から自動車取得税が廃止され、自動車取得税に代わるものとして導入されました。自動車の燃費性能に応じて、税金を付与するもので自家用乗用車は取得価額の0~3%、営業用の車と軽自動車は0~2%になります。

エコカー減税とは?

エコカー減税とは、環境に優しい車の購入者を優遇する減税措置です。エコカーに該当するのは国土交通省が定める環境基準を満たす車であり、対象車を購入すれば環境性能割と自動車重量税が環境性能の高さに応じて減税されます。

エコカー減税対象となる条件は、車種ごとの細かな燃費基準の達成水準のほかに、新規登録する期間も定められおり、様々な条件次第で減税額は異なってくるのです。正確な自動車重量税を確認するには「次回自動車重量税額照会サービス(リンク)」を利用しましょう。

お持ちの車の車検証に記載された【車台番号】と【車検日】を入力するだけで、車ごとの正確な重量税を調べることができます。

グリーン化特例とは?

グリーン化特例とは、適用期間内に新車登録を行った車を対象として、初年度と翌年度の自動車税が環境性能の高さに応じた25%・50%・75%のいずれかの割引率で減税される特例措置です。

グリーン化特例は2021年4月より、自家用車で対象となるのは電気自動車やプラグインハイブリッド等だけなり、基準がかなり厳しくなりました。自家用車はクリーンディーゼル車もガソリン車も対象外となっています。

また、グリーン化特例は2026年3月31日までに自動車を新規購入した車両のみとなっており、減税は購入翌年度の自動車税・軽自動車税のみです。

エコカー減税が環境性能割と自動車重量税に関わるのに対して、グリーン化特例は自動車税に関わります。

廃車にすると支払った税金が戻ってくる

車を売却するということは車の所有者ではなくなるということなので、毎年4月1日に課税される自動車税を支払う義務がなくなります。自動車税は1年分を前払いしますが、車を買取に出した時点で残っている期間の分だけ、自動車税が月割で還付されます。

廃車にすると受け取れる還付金について

自動車には様々な税金がかかりますが、廃車にすると支払った税金が戻ってくるのです。

税金の還付は月割計算での還付となりますので、月末など月替りにまたがってしまうと還付される金額が減ってしまいますので注意が必要です

それぞれの還付金について更に詳しくご紹介しているので参考にしてみてくださいね。

廃車にすると受け取れる還付金とは

廃車にすると受け取れる還付金とは、自動車税・自賠責保険・重量税です。

自動車税は抹消手続きを行えば自動的に戻ってくるお金でありますが、軽自動車については自動車税の還付はありません。月割りで戻ることがなく、4月1日時点での所有者の責任払いとなります。自動車税の還付金は普通車のみになりますのでご注意ください

自賠責保険は通称“強制保険”といわれている自動車保険の一種です。自動車税と同じように、この自賠責保険も先払いで支払うことになります。保険料は車検代の中に合算され含まれますので忘れてしまっている方も多くいます。自賠責保険は自動車税の還付とは違い、解約手続きを行わなければ還付されませんので必ず解約手続きを行うようにしましょう。

重量税も自賠責保険と同様に、車検をとるたびにその都度、納める税金です。そのため車検の残りがあると、還付の対象になります。重量税の手続きは永久抹消が条件です。解体スクラップをして、解体移動報告まで済んだ状態でないと対象にはなりません。

還付金が受け取れる条件とは

還付金は車を手放したからと言って自動的に還付されるものではありません。還付金を受け取るには条件があるのです。

また、還付申請書が運輸支局等に提出されてから、所轄税務署より還付金が支払われるまでに約2か月半程度かかります。もし3ヶ月以上経っても還付金の支払いがされない場合は、所轄の税務署へ問い合わせしましょう。

一時抹消登録または永久抹消登録

運輸支局で「車を一時的に使いません」「車を今後永久的に使いません(解体など)」という登録をする手続きのことです。抹消登録をすると、ナンバープレートを返納して車検証もなくなるので、公道を走ることが出来なくなります。

車検の残存期間が1ヶ月以上ある

自動車重量税の還付金は、納付済みの自動車重量税額から車検残存期間分を分割計算して還付されます。そのため、車検の残存期間が1ヵ月以上ない場合は、還付金を受け取ることができませんので注意が必要です。

還付金の計算方法

自動車税還付の計算は、月割り計算となります。たとえば、月初(1日)に廃車手続きをしても月末(30日・31日)に廃車手続きをしても還付金は同じなのです。

還付金の計算式は、

1年の自動車税額÷12ヵ月×登録抹消した翌月から3月までの月数=自動車税還付額(※100円未満切り捨て)

廃車にした当月分の自動車税は還付されないことになっているので、3月に登録を抹消した場合には、還付金は0円ということになります。

還付金の受け取り方法

抹消登録の申請手続きが完了してから約1か月~2か月すると、手元に支払い通知書が届きます。必要な書類を持参し、銀行や郵便局の窓口で手続きをすれば還付金を受領できます。しかし、通知書が手元にくるまで期間が空くので、還付金の受領を忘れてしまう方もいるようです。還付金には受領期限があります。受け取り忘れにはくれぐれも注意しましょう。

還付通知書・認印・身分証明書(運転免許証等)を持参して、指定された金融機関で還付金を受け取ってください。

自動車税・還付金に関するQ&A

自動車税・還付金に関するよくある質問についてご紹介していきます。税金・還付金について、還付金の受け取り条件や受け取り方法、自動車税が重課してしまうことに関して質問が多く寄せられています。

Q
自動車にかかる税金はどれほどあるの?
A

2019年に税制が大きく改定され、「自動車取得税」は廃止となり、代わりに「環境性能割」が課されるようになりました。現在の車にかかる税金は主に【自動車税/軽自動車税】・【自動車重量税】・【環境性能割】・【消費税】となっています。そして新規登録から13年以上経過したガソリン車・LPガス車は自動車税が重課されます。

Q
納税証明書を紛失してしまった!必要になる場面は?
A

車の納税証明書は車の売却時や車検の時などに使用します。車の車検時期が近づいている、車を売ろうか考えている場合は再発行が必要となることもあります。また、引っ越しして他の都道府県に移った場合、時期によっては前の都道府県で発行された納税証明書が必要になりますので紛失してしまった場合は、状況に応じて再発行を行いましょう。

Q
なぜ13年以上経過すると重課されるのですか?
A

車の排出ガスは温暖化など地球環境の悪化を招き、少しでも地球温暖化を抑えるためエコカー減税やグリーン化特例の制度などが導入されています。13年以上経過した車は環境負荷が大きく、税負担をその分多くしているのです。また、低年式の車は安全面の問題も出てきます。安全装備なども現代の車と比較して少なく、安全運転を推進するためにも旧車増税を行っていると言えるでしょう。

Q
廃車にしたけれど・・・還付金が受け取れるのはいつ?
A

抹消登録完了後おおよそ1ヶ月~2ヶ月程で、都道府県税事務所から還付通知が届きます。”過誤納金等還付通知書”というものが郵送で届いたら、最寄りの金融機関にて返還手続きを行いましょう。

Q
自動車税はクレジットカードで払えるの?
A

近年、自動車税もクレジットカードで納税が出来るようになりました。都道府県によってクレジットカードでの納税方法は異なりますのでお住いの地域での支払い方法をご確認ください。

まとめ

自動車にかかる税金について詳しく解説しました。

車は廃車することで、支払っていた税金を還付金として受け取ることができます。車の廃車時に受け取れる還付金には、自動車税・自動車重量税があります。還付金は月割り計算となるためタイミングによって還付される金額は異なり、廃車手続きの完了日が遅くなればなるほど損をしてしまいます。廃車にすると決めたら早めに手続きをするのをオススメします。